責任ある採掘のための連盟 = Alliance for Responsible Mining
「責任ある採掘のための連盟 = Alliance for Responsible Mining」(=ARM)という国際非営利団体は、世界にある小規模鉱山の問題を解決するために、採掘現場の労働者の人権を守る基準を設けたり、水銀の使用頻度の低減化、紛争の予防、国際NGOや政府を巻き込んだ地位の向上等、様々な側面で支援を行っています。
小規模鉱山の問題…貧困、児童労働、環境汚染、紛争
小規模鉱山の何が問題なのでしょうか。フィリピンのカマリネスノルテ州にある貧しい地域では、家計を支えるため約18,000人の女性と子供が自宅近くの不法な小規模金鉱で働いています。空気圧縮機を使った危険な採掘方法で、健康と命を危険にさらしながら狭い入口から穴に入り、地面を奥深く掘って金を探します。また水銀混じりの泥の中で砂金採りをします。豪雨や台風で穴が崩壊して死者や怪我人が出ることもあるといいます。それにもかかわらず彼らの収入は1日8~12時間働いて、わずか100ペソ(2USドル以下)です。
フェアマインドゴールド(公正に採掘された金)とは?
ARM(責任ある採掘のための連盟)は、途上国における小規模鉱山のサポートの一環として、独自の「公正な採掘のための審査基準」を設定し、小規模鉱山での金、銀、プラチナの採掘事業について第三者評価をしています。審査基準を満たした小規模鉱山で採掘された金をフェアマインドゴールド、銀をフェアマインドシルバーと呼び、フェアトレード(※備考 用語解説)に関心の高い企業顧客や個人という“市場”への橋渡しをしているのです。
※フェアトレードとは
直訳すると「公平公正な貿易」。開発途上国の原料や製品を適正な価格で購入することにより、開発途上国の小規模生産者や 労働者が自らの力で貧困から脱却し、地域社会や環境を守りながら、サステナブルな世界の実現を目指す取組みのこと。
フェアマインドゴールド等の審査基準
フェアマインドゴールド(シルバー、プラチナ)の審査基準の概念
サプライチェーンの上流にある貧困と児童労働問題
2019年の世界全体の鉱山からの金の産出量は3,300トン。国別のシェア1位は中国で420トン、2位はオーストラリア330トン、3位はロシア310トン、4位米国200トン、5位カナダ180トン、以下はインドネシア、ガーナ、ペルー、メキシコだそうです。フェアマインドゴールドの存在をきっかけに、金のサプライチェーンの上流に、貧困と児童労働の問題があることを知りました。今後また、本コラムでフェアトレード関連の情報を取り上げようと思います。