スポーツイベントに持続可能性?
過去に、オリンピック・パラリンピックの会場跡地を有効利用できなかったり、大会期間中に選手村や観客から出るゴミが問題となったことをきっかけに、開催国だけでなく世界各国から集まる選手団や観客は、エネルギーや資源を有効に使い、大会終了後に地球に負担をかけることのない「持続可能なスポーツイベント」への変革を求められるようになりました。
2012年に開かれたロンドン大会はこの社会的要請に積極的に取り組み、「史上最も持続可能なオリンピック・パラリンピック」であると評価されています。「環境に配慮した競技場」として有名となったのは、自転車競技場です。自転車が走るトラックや建築部材に、FSC認証の木材(Forest Stewardship Council=森林管理協議会が森林の環境保全が行われていると認定した木材)が使われました。また照明には自然の太陽光を取入れ、雨水を溜めてトイレで使う水の量を減らす等の工夫がされました。
環境保全団体であるWWFをはじめとするNGOや専門家達が加わった「持続可能なロンドン2012委員会」という第三者委員会を設置し、大会の持続可能性を独立した立場でチェックしたことが成功要因の一つと言われます。
東京2020大会の主要テーマとSDGs
東京2020大会では、スポーツイベントの持続可能性を環境面や社会面でさらに追及しています。
2015年に国連が定めた持続可能な17の開発目標(SDGs)は、資源、エネルギー、生物多様性、気候変動、人権、平和、貧困、食品ロス 等の多くの社会問題の解決を目的にしています。
国際的なスポーツイベントには、発信力のあるアスリートや多くのファン、大会関係者、視聴者を通じて、SDGsが提示するさまざまな問題への気づきを社会に促す力があるという考え方から、東京2020大会では、「Be better, together/より良い未来へともに進もう」というスローガンのもと、幅広い社会問題を捉えた5つのテーマを定めています。
東京2020大会の持続可能な取組みの例
持続可能な東京2020オリンピック・パラリンピックのための具体的な取組みの一部をご紹介します。
編集後記
グループ会社のリーテムは「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」に事務局の一社として参加し、全国で回収した使用済小型家電から、メダルに利用するための金銀銅原料を作るプロセスに貢献しました。東京2020大会の誘致の際、日本は2016年のロンドン大会を超える持続可能なオリンピック・パラリンピックを目指すと約束したそうです。ご紹介した取り組みも含めて今大会の持続可能性について国際社会からどのような評価を受けるのか関心のあるところです。