都市鉱山の概要
都市鉱山とは、都市でごみとして廃棄される大量の家電製品や工業製品の中に存在する有用な金属資源を鉱山に見立てた表現です。
つまり、ごみとなった家電製品や工業製品の中から金属資源を取り出し、リサイクルすることで環境負荷を低減し有効活用しようという考えだと言えます。
日本の都市鉱山は世界有数の資源国にも匹敵します。
回収が期待される金属
私たちの生活で幅広く広く使われてきた
鉄、銅、鉛、亜鉛、アルミニウムなどの金属(ベースメタル)や以下に記載する金属の回収も見込めます。
金・銀
金や銀は私たちが普段から使用する、多くのものに含まれている金属資源です。
例えば、LED照明の中に明るさを高める部品として、金や銀が利用されています。
他にも、テレビの液晶ディスプレイ用ドライバーICや携帯電話の内部に金が、赤外線を反射するガラスに使用される膜の材料として銀が使用されています。
白金・白金合金
家庭用の燃料電池は水素と酸素が反応して発電していますが、この電極部分の触媒として、白金や白金合金が使用されています。
他には、パソコンの中に含まれている、ハードディスクの磁性層にも白金合金が。自動車や重機の排ガス浄化用触媒、プラントにも白金は仕様使用されています。
リチウム・インジウム
リチウムは、スマホのバッテリーとして活躍する、リチウムイオン電池に使用されています。
インジウムは薄型テレビ用液晶パネルの透明電極に使用されています。
スマホやテレビの普及率を考えると、どれだけの金属資源が眠っているのか想像しやすいのかもしれません。
レアメタルについて
レアメタルの定義は、国際的には定まっていません。
日本では、地球上に存在する量が希少であるか、技術的・経済的な理由で採掘することが困難であるか、すでに工業での需要が存在しており安定供給の確保が政策的に重要であるか、などの基準から、31種類の鉱物をレアメタルと定義しています。
レアメタルの種類
レアメタルには、リチウム、ベリリウム、ホウ素、希土類、チタン、バナジウム、クロム、マンガン
コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム
ニオブ、モリブデン、バラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム
タンタル、タングステン、レニウム、白金、タリウム、ビスマスの31種類があります。
都市鉱山の問題と課題
リサイクルによって金属資源を回収するために必要な、家電製品やスマートフォンといった廃棄物の回収率が低く十分な量を確保できない、という問題があります。
また、分別や解体の作業にかかるコストは高く、金属資源を回収しても経済的に成り立たない、という点も挙げられます。
そのため、金属資源が含まれていたとしても、他の廃棄物と同様に焼却・埋立といった方法で処分されることも少なくありません。
さらに、技術的にも廃棄物から効率よく金属資源を回収することは困難であり、十分な量がリサイクルされていない、ということもあります。
これらの課題をクリアし、今後は廃棄物から多くの金属資源を回収し、リサイクルされることが望まれています。
資源リサイクルなどによる循環経済の市場規模を拡大しようと、環境省は2030年までの工程表を公表し電化製品に含まれる金属やペットボトルなどプラスチックのリサイクル量を2倍に増やすなど目標を設定して、取り組みを加速させています。
都市鉱山の問題が、これ以上深刻になることがないよう、身近にできることは、3Rの徹底です。
例えば、不用になった家電は捨てるのではなく、リユースや円滑にリサイクルされるよう、ごみはしっかりと分別する等、簡単なことのようですが、徹底されていないことも事実です。