お問い合わせ 資料ダウンロード

Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

今更聞けないフロンガスのマニフェストと最適な産業廃棄物処理業者の選び方とは?

2023.04.30

本記事ではフロンについての最適な処理方法を記載します。
本記事を読んで、フロンの処理について知識を蓄え、しっかりと実務に活かしましょう。
実際の業務に役立てましょう

あなたが記事を読むメリット

・フロンってなんだっけ?という人でもフロンがどういう物で何に使われているかを知ることができる。

・フロン類の環境汚染の話から現在の法制度やマニフェストまでを解説しているので全体像をしっかりと理解できる

・あなたがフロンガスの処理業者を選ぶ上でとても大切な特徴について知ることができる。

フロンって一体何?その疑問に答えます

フロン類とは、化学式にクロル(Cl)、フッ素(F)、炭素(C)などが含まれる化合物の総称で、人体に無害で冷媒や気体を用いる電子機器などに利用されます。フロン類は、低温で気体化し、高温で液化する性質を持っています。このため、冷凍機、冷蔵庫、エアコンなどの冷却システムに広く利用されています。

しかし、フロン類はオゾン層を破壊する物質であるため、環境破壊の原因となります。オゾン層は、地球上に存在する大気の一部で、紫外線によって人体に有害な作用を与える紫外線を吸収し、防いでいます。フロン類がオゾン層に届くと、クロロフルオロカーボン(CFC)などの化合物が太陽光によって分解され、オゾン層の一部を破壊することになります。

このため、フロン類に対する取り組みとして、1987年にモントリオール議定書が採択され、世界各国でフロン類の生産・使用・販売が規制されるようになりました。また、代替フロンの開発など、フロン類を代替する技術が研究されています。

知らないでは済まされないフロンの環境汚染問題

さて、冒頭でも触れましたが、このフロンのオゾン層の破壊問題についてですが

気象庁の「フロンによるオゾン層の破壊」によると、1970年代半ばに、人工物質であるクロロフルオロカーボン類(CFC 類:フロン)がオゾン層を破壊する可能性が指摘されたのです。フロンはこれまで大気中に大量に放出されていました。 フロン類は、地上付近では分解しにくい性質をもっているため、大気の流れによって成層圏にまで達します。

フロンが高度40km付近の成層圏まで運ばれた時、強い太陽紫外線を受けて分解され、塩素が発生します(図1-①より)。 この塩素が触媒として機能することでオゾンを次々に破壊していってしまうのです。

人体には無害でも地球環境に負荷がかかるなら問題です。
この事に関して、気象庁の「オゾン全量の経年変化」を引用すると、


「世界の平均オゾン全量は1980年代〜1990年代前半にかけて大きく減少が進みましたが、1990 年代後半に減少傾向が止まり、2000 年以降は変化が比較的小さくなっています。地上観測によると、近年(2016~2020 年)はそれ以前(1994~2008 年)に比べわずかに増加(回復)傾向がみられますが、オゾン層破壊が顕著に現れる以前(1970~1980 年)と比較して依然少ない状態が続いています。この状態は、衛星観測による 2021年のデータからも確認されています。」
気象庁HP(「オゾン全量の経年変化」)
となっています。

また、下記の図2に示すこのサイトの世界の平均オゾン全量の経年変化の図を見てみると

この図を見ると、確かに先ほどの引用文の記載の通り、赤線で示されていた地上観測点データの累年
平均値は1980年ごろから急激に減少し1993年は偏差が-6%だったものが近年では偏差が-2%台で安定しています。
近年の世界の環境問題への取り組みが功を奏してきていると言えます。



さて、ここまでフロンがどういう物質で、この物質が地球環境にどういう影響を与えているかを解説してきました。

フロンの排出について抑えておきたい法令とは?

ここからは、あなたがフロンが使われている製品を廃棄する際に確認しておくべきフロンに関する法令について私と一緒に確認していきましょう。

フロン排出抑制法

流通している業務用冷凍空調機器に充塡されているフロン類は、地球温暖化への影響が大きいことから
これらをむやみに漏えいすることを規制することを目的に作られた法律です

この法律がフロン排出に関わってきます。
ここを抑えておけば、フロン排出に関する法律の重要部分を抑えたと言っても良いでしょう。

さて、このフロンの排出に関する法律についての面白い記事が環境省と経済産業省が主体になって作成した
「フロン排出規制法ポータルサイト」にありました。
このサイトによりますと、この法律の全体像は下記の図3のようになっており、
このポータルサイトのこの図3に対する説明を引用すると、各工程で各業者がすべき取り組みは以下のようになっています。

①フロン製造業者等の取組み

国が定める「フロン類の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に従い、

1. 製造・輸入等するフロン類のGWP(地球温暖化係数)の低減
2. フロン類からの代替物質の製造に必要な設備の整備及び技術の向上

等のフロン類の使用の合理化への取組みが必要になります。(9条-11条より)
(フロン排出規制法ポータルサイトより引用)

②指定製品製造業者等の取組み

政府は、日本において相当量のフロン類が使用されているもので
その使用等に際してのフロン類の排出の抑制が技術的に可能な製品を「指定製品」として指定しています。

指定製品を製造・輸入等する事業者は、国が定める「指定製品の製造業者等の判断の基準となるべき事項」に従って
1. 指定製品に使用されるフロン類のGWPの低減
2. 製品の設計・製造等におけるフロン類の充塡量の低減
3. 使用するフロン類などに関する表示の充実
によるフロン類の使用の合理化への取組みが必要になります。(12条-15条より)
(フロン排出規制法ポータルサイトより引用)

③第一種特定製品の管理者の取組み

第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)の管理者の方々には、
1. 以下の事項を定めた国が定める「第一種特定製品の管理者の判断の基準」の遵守を通じて、使用時におけるフロン類の漏えい防止に取り組むことが必要になります。
○管理する第一種特定製品の設置環境・使用環境の維持保全
○簡易点検・定期点検
○漏えいや故障等が確認された場合の修理を行うまでのフロン類の充塡の原則禁止
○点検・整備の記録作成・保存
2. 一定量以上フロン類を漏えいさせた者は、算定漏えい量等を国に報告することが求められます。また、国はその算定漏えい量等を公表します。
3. 機器にフロン類を充塡又は回収する必要がある場合、整備者は充塡または回収を「第一種フロン類充塡回収業者」に委託しなければなりません。第一種特定製品の管理者は、整備者に対して、整備発注時に管理者名を確実に伝達する必要があります。
4. 機器の廃棄等を実施する者は、フロン類を「第一種フロン類充塡回収業者」に引き渡すか、フロン類の引き渡しを設備業者等に委託し「第一種フロン類充塡回収業者」に引き渡す必要があります。また、その際、行程管理制度に従って、回収依頼書の交付等が必要です。
(フロン排出規制法ポータルサイトより引用)

④特定解体工事元請業者の取組み

解体工事前に第一種特定製品の設置の有無を確認し、特定解体工事発注者に書面を交付して説明します。
(フロン排出規制法ポータルサイトより引用)

⑤第一種特定製品引取等実施者の取組み

廃棄等された第一種特定製品の引取り等を行おうとする場合、引取証明書の写し等によりフロン類が回収済み
であることを確認します。
(フロン排出規制法ポータルサイトより引用)

⑥第一種フロン類充塡回収業者の取組み

第一種特定製品へフロン類を充塡し、又は第一種特定製品からフロン類を回収することを業務として行おうとする者は、「第一種フロン類充塡回収業者」として、都道府県の登録を受ける必要があります。
「第一種フロン類充塡回収業者」は、フロン類の充塡、回収を行う際には、それぞれ充塡に関する基準、回収に関する基準に従う必要があります。
「第一種フロン類充塡回収業者」は、回収したフロン類について、自ら再生する場合等を除き、「第一種フロン類再生業者」又は「フロン類破壊業者」に引き渡す必要があります。(法律27条-49条)
(フロン排出規制法ポータルサイトより引用)

⑦再生・破壊業者の取組み

フロン類の再生業又は破壊業を行おうとする者は、それぞれ「第一種フロン類再生業者」、「フロン類破壊業者」として、国(環境大臣及び経済産業大臣)の許可を受ける必要があります。

「第一種フロン類再生業者」及び「フロン類破壊業者」は、引き取ったフロン類について、それぞれフロン類の再生に関する基準又はフロン類の破壊に関する基準に従って、再生又は破壊を行う必要があります。(法律50条-62条(フロン類再生)、法律63条-73条(フロン類破壊))

この他にも、「フロン類のみだりな放出の禁止」などの義務があります
(フロン排出規制法ポータルサイトより引用)

上記のようにフロンを排出する事業者から処理業者まで各工程で環境への負荷を軽減するように法律が作られています。
各々で立場は違ってもフロンが環境に悪影響を及ぼさないように協力することが求められていると言えます。
またこの法律には罰則が設けられており、「一般社団法人日本冷媒・環境保全機構HP」によると以下の通りです。

罰則

点検整備記録簿を機器廃棄後:充塡回収業者がフロン類を引き取ってから3年間の保存義務
冷媒を回収せずに機器を廃棄した場合・・・50万円以下の罰金(直罰)
→法第104条第二号

行程管理票の未記載、虚疑記載、保存違反・・・30万円以下の罰金(直罰)
→法第105条第二号〜四号

廃棄機器を引取業者に引き渡す場合は行程管理票の引取証明書の写しを交付の義務・・・未交付の場合は30万円以下の罰金(直罰)
→法第105条第五号
(一般社団法人日本冷媒・環境保全機構HPより引用)

また、ここで記載されている直罰というのは行政指導などを経ることなく
即座に刑事罰(罰金)が適用されることだそうです。
さて、今回の第一回目はここまでです。今回はフロンの概要や環境への影響やフロン排出抑制法の全体像と排出・処理のための各工程での各事業者が行うべき取り組みと罰則についての解説を行ってきました。

関連記事