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Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

改正大気汚染防止法について(その7)

2023.12.13

改正大気汚染防止法について第7回目のコラムです。
建設廃棄物(石綿含有建材)の適正処理の続きです。

作業従事者の作業環境管理

廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物を取り扱う事業場においては、石綿障害予防規則に基
づき、必要な措置を講ずる必要がある。
①石綿等を取り扱う作業については、石綿作業主任者技能講習を修了した者のうちから、
石綿作業主任者を選任し、以下の事項を行わせなければならない。
・作業従事者が石綿等の粉じんに汚染、又はこれらを吸入しないよう作業方法を決
定し、労働者を指揮すること。
・局所排気装置その他健康障害を予防するための装置を一か月ごとに点検すること
・保護具の使用状況を監視すること
※なお、石綿等を取り扱う作業に従事する労働者は、石綿取扱作業者特別教育を修了す
る必要がある。
②石綿等を取り扱う業務に常時従事する労働者に対して、雇入れ(当該作業への配置転換
含む)及びその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に健康診断を実施しなければならない。
(特殊健康診断)
③石綿等を取り扱う作業場に石綿等の粉じんを吸入することによる労働者の健康障害を
予防するために必要な呼吸用保護具の備え付け、有効かつ清潔の保持その他の必要な
措置を講じなければならない。
④石綿等を取り扱う作業場に常時作業に従事する労働者について、一か月ごとに所定の
事項を記録するとともに、これを当該労働者が常時当該作業に従事しないこととなっ
た日から40年間保存しなければならない。

排出時の措置

排出時の注意点としては、以下の点が挙げられる。
①石綿等の分別保管及び保管基準の遵守
②保管時及び搬出時の飛散防止措置
①石綿等の分別保管及び保管基準の遵守(排出事業者)
・分別保管:廃石綿及び石綿含有産業廃棄物は各々の処理方法が異なるため、他の廃棄物
と混ざらない様に分別し、排出する。
・保管基準の概要
○廃石綿
排出事業者は、その特別管理産業廃棄物(廃石綿等)が運搬されるまでの間、特
別管理産業廃棄物の保管基準に従って生活環境の保全上支障のないようこれを
保管しなければならない。具体的な保管基準としては
a.周囲への囲いの設置(荷重が囲いにかかる場合は、構造耐力上の安全性確保)
b.保管場所の掲示

【保管場所の掲示例】

※積み上げ高さは、屋外且つ容器を用いない場合に記載が必要。保管高さについては割愛する。
※環境省環境再生・資源循環局「石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)」より抜粋

c.病害虫の発生防止
d.混入防止措置のための仕切りの設置
e.特に廃石綿等の保管では、梱包等当該廃石綿の飛散防止措置が必要

○石綿含有産業廃棄物
排出事業者は、石綿含有産業廃棄物の飛散を防止するため、石綿含有産業廃棄物
が運搬されるまでの間、産業廃棄物及び石綿含有産業廃棄物の保管基準に従っ
て保管する。具体的な保管基準については、特別管理産業廃棄物に同じ。
②保管時及び搬出時の飛散防止措置
○廃石綿における飛散防止措置
⇒廃石綿等が搬出されるまでの間、飛散防止措置のため湿潤化等の措置を講じた上で
梱包するなどの飛散防止措置が必要とされる。
埋立処分:固形化、薬剤による安定化等の措置を講じた上で、耐水性の材料で二重に梱
包すること。
中間処理:廃石綿等を飛散防止措置のため湿潤化した上で耐水性の材料により梱包す
ること。(中間処理の場合は、溶融処理又は無害化処理による)
※飛散防止措置の観点から耐水性の材料としては、十分な強度を有するプラスチック
袋又は蓋付きの堅牢な容器を使用する。具体的には、プラスチック袋は厚さ0.15mm
以上のものを、堅牢な容器は、ドラム缶等の密閉容器を指す。
⇒特別管理産業廃棄物としての廃石綿には、
・廃石綿であること(特別管理産業廃棄物の種類)
・取扱い上の注意事項 の記載が必要
なお、石綿含有産業廃棄物には表示義務はないが、他の廃棄物の混入防止及び飛散
防止の観点から、一定の表示をすることが望ましい。

【廃石綿】

【石綿含有産業廃棄物】

○石綿含有産業廃棄物における飛散防止措置
⇒廃石綿同様に飛散防止措置が必要となる。具体的には
・飛散及び混合防止措置として仕切りを設けること
・覆いを設ける、梱包するなどの措置を講ずること。
埋立処分:廃石綿の埋立における飛散防止措置と異なり、石綿含有産業廃棄物の場合
は梱包等の規定はないが、廃石綿同様の措置を講ずることが望ましい。
中間処理:法令上の飛散防止措置はないが、こちらも廃石綿同様の措置を講ずること
が望ましい。(中間処理の場合は、溶融処理又は無害化処理)
なお、散水等により湿潤化した上で運搬車両への積込みに必要な最小限度
の破砕又は切断は可能とされている。
※石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものについては、飛散性が高い恐れ
があるため、梱包を行う必要がある。また性状が粉状又は泥状の場合は、
流出防止のため二重梱包を行うこと。

マニフェストの交付

排出事業者(元請業者)は、廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の運搬又は処分を他人に
委託する場合は、廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の引渡しと同時に所定の事項を記載
したマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付しなければならない。
①廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の処理を委託する場合には下記の点に注意する。
・産業廃棄物の種類ごとに及び運搬先ごとに交付すること
廃石綿等:産業廃棄物の種類は「廃石綿等」
石綿含有産業廃棄物:産業廃棄物の種類は「がれき類」、「ガラスくず、コンクリー
トくず及び陶磁器くず」、又は「汚泥」
※汚泥については、高圧水洗工法、剥離剤併用による除去、グラインダーケレン工法等
で泥状や粉状の状態で除去されたものが該当する。
➡飛散防止のため、二重梱包が必要

【工法例】

※厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課
環境省水・大気環境局大気環境課
「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散
漏えい防止対策徹底マニュアル」より

②当該年度の前々年度の特別管理産業廃棄物の発生量が50トン以上の事業場から
特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合は、電子マニフェストの使用義務対象となる。(多量排出事業者)

※特別管理産業廃棄物(廃石綿等)の排出事業者の帳簿作成義務については、自社処理(運搬及び処分)の場合に作成が必要となる。
従って、自社運搬をする場合には帳簿の作成。
が必要となる。⇒石綿含有産業廃棄物の帳簿作成は、自社処理施設を設置する事業者が対象とされている。

廃石綿等及び石綿含有産業廃棄物の処理について(処分を除く)

廃石綿等及び石綿含有産業廃棄物の処理(収集運搬)を委託
⇒委託業者が、下記の分類に応じて積卸地(積込及び荷卸し)を管轄する都道府県
の許可が必要。
廃石綿等:特別管理産業廃棄物収集運搬業許可
石綿含有産業廃棄物:産業廃棄物収集運搬業許可 が必要
※なお、排出事業者(元請業者)が自ら廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物を運搬する場合
には、法律上許可は不要とされる。但し、排出事業者の自ら運搬する場合であっても
運搬を行う場合には政令に定める収集運搬に関する基準に従わなければならない。
①廃石綿等及び石綿含有産業廃棄物の運搬基準
ア.飛散、及び流出の防止
廃石綿:積込及び運搬の各過程で飛散させないよう慎重に取り扱う。特に積込は原則として人力で行い、重機等による場合はパレット又はフレコン等を
利用し、直接プラスチック袋に触れないようにする。万一破袋した場合には、散水等により湿潤化し、耐水性プラスチック袋で二重に梱包する。
(破袋が生じた車両のシートは、「廃石綿等」として処理する。)
石綿含有産業廃棄物:変形又は破断しないよう、原形のまま積込み又は荷降ろしを行うこと。
(やむを得ず切断等が必要な場合は湿潤化した上で、積込に必要な最小限の破砕又は切断とすること。)
また、運搬時はシート掛け、フレコン等により飛散防止措置を講ずること。
※石綿含有仕上塗材が廃棄物となったものは、特に飛散性が高いため
排出時の二重梱包のまま運搬する。
イ.収集又は運搬に伴う悪臭、騒音又は振動によって生活環境保全上の支障が生じない
ようにすること
ウ.収集又は運搬の為の施設を設置する場合は、生活環境保全上の支障を生ずるおそれ
のないよう必要な措置を講ずること
エ.廃石綿等による人の健康又は生活環境に係る被害が生じないようにすること
オ.その他の物と混合する恐れのない様に他の物と区分して収集し、又は運搬すること
カ.廃石綿等の収集又は運搬にあたっては、廃石綿等である旨及び取り扱う際に注意す
べき事項を記載した文書を携帯すること(廃石綿等を収納するプラスチック袋又は
容器にこれらを表示する場合を除く。)
②その他の運搬時の注意事項
ア.収集運搬車両の掲示(記載事項及び文字の大きさについて規定あり)
イ.マニフェスト等の書面の備え付け
ウ.積替え保管を行うことは可能ではあるが、飛散防止の観点から積替え・保管は極力
行わず、処分施設への直行が望ましいこと

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