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Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

進むのか? 脱炭素

2022.07.31

これからの世界経済の維持と発展のために重要なのは「脱炭素」と「サーキュラーエコノミー(CE)」だと言われます。昨年10月に菅首相が就任時の所信表明演説の中で、脱炭素社会の実現について宣言しました。世界に遅れをとっていると言われてきた日本もいよいよ本腰を入れることになります。

海の魚のお引越し

筆者の同居人の釣り好きAさんは、この数年、海の変化を感じています。千葉の館山の海で昔はよく連れていた魚が少なくなり、代わりに沖縄に旅行した時に現地の海で釣ったことのある魚たちが館山の海で釣れるそうです。「南国に住んでいた魚たちが関東近海に引っ越して来ている!」と言うのです。海水温の上昇によって魚が北に移動しているんですね。

Aさんの体験以外にも北海道で鮭を獲るために仕掛けた定置網でブリが大量に獲れるようになった等の例があるようです。地球温暖化によって、海水温の分布や海流が変わっていることが原因です。海は、人間が放出する二酸化炭素の約3割を吸収して、大気中の二酸化炭素の濃度の上昇を抑えていますが、一方で、海は熱を吸収することによって自身も温暖化しているためです。

国のリーダー達の脱炭素の表明

菅首相は2020年10月26日の所信表明演説の中で「我が国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」と表明しました。さらに、2020年12月に行われた会見では小泉環境大臣が、炭素価格(カーボンプライシング)の導入を「2021年の最大の目標とする」と話しました。

知らないとは言え ない「パリ協定とは」?

2016年11月に発効された、気候変動に関する国際的な枠組みが「パリ協定」です。産業革命以前を基準として世界の平均気温上昇を2°Cより十分に低く保ち、1.5°Cに抑える努力をすることや、温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにすることを長期目標にしています。パリ協定には185カ国が批准しています(※2019年9月現在)日本は、菅首相の所信表明まで、2050年までに2013年比で80%削減という目標を掲げ、実質ゼロの具体的な時期を示していませんでした。日本の目標はパリ協定の長期目標に対して「著しく不十分」であるとして国際社会から批判されていました。

求められる脱炭 素への加速

米国はトランプ政権下にパリ協定を脱退しましたが、新大統領のバイデン氏は就任後ただちにパリ協定に復帰する大統領令に署名しました。EUはすでに2018年に、「2050年までに温室効果ガスの正味排出量をゼロ」を実現するための長期ビジョンを発表しました。また、中国も2020年に「2060年までにカーボンニュートラルを目指す」と表明しています。2019年には世界各地で若者世代が、気候変動対策を訴えて学校ストライキやデモ行進を行いました。世界の「脱炭素社会」に向けた目標の前倒しを背景に、保守的な削減目標に留まっていた日本も世界の潮流を無視することはできません。私たち企業や家庭も、若者達とその先の未来の世代に対する責任として、温室効果ガス排出量の削減に真剣に取り組むべきだと感じます。

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